その時空気がゆらりとゆれて、ひとりの忍びが男の背後に姿を現した。
「先の任務は終わったか…風魔」
風魔と呼ばれた忍は微塵も動かず、そこに立っていた。
「…卿は相変わらず無口だ」
男は、ご苦労だった。と付け加えると、何が可笑しいのかくつくつと笑った。
忍はただ立っていた。
ひゅるりと二人の間を一筋の風が抜けた。
不意に、男は振り向いた。
忍のその胸に、刀の切先をつきつけて。
また、ひゅるりと風が抜けた。
それでも忍は微動だにしなかった。
男が口を開いた。
「卿は伝説と言ったな…誰も知らぬ存在と」
一歩
「ならば、この場で卿の任を解けば」
また一歩
「私も切るか?」
男と忍の距離は、限りなく0に近づいた。
その時、刃は男の喉を向いていた。
空気がまた、ゆらりとゆれる。
「全く、卿は面白い」
興味が沸いた。と、また笑った。
刃を向けたは、風魔の仕業か男の意思か。
誰もが一度は考えたようなネタかと…
おじいちゃんは風魔に懐かれていればいいと思います(ヲイ)